フレイル予防のためには、バランスの良い食事を欠かすことはできません。
そのために栄養士は、高齢者に対して栄養バランスを考えた食事の提案や1日3食をきちんと食べることを提案したりします。
しかしながら、栄養士は栄養についてだけ考えていれば良いわけではありません。フレイル自体は、低栄養による影響だけでなく、運動機能の低下や認知機能の低下、社会参加頻度の低下など複合的な要因によって生じます。だからこそ、栄養士も独自の観点に立ちながら、他の予防方法との連携を考えなければならないのです。
特に栄養士が気を付けなければいけないことは、食事と運動との兼ね合いです。
栄養は、体のエネルギーやバランスを整えるために使われるものですが、その多くが運動によって消費されています。運動量が少ないと体が必要とする栄養も少なくなるので、結果として低栄養状態を招いてしまう可能性もあるのです。
そのため栄養士が、栄養バランスだけでなくレジスタンス運動のメニューを提案することもあります。この食事と運動のバランスを考えることが、なにより低栄養と筋力低下の対策になるのです。
また人間は社会的な生き物なので、人と関われる環境があることは精神的な健康にとても大切です。
だからこそ栄養士は、「一緒にご飯を食べる人はいるか」など、食事を含めた社会参加の状況について把握する必要があります。場合によっては栄養士が積極的に働きかけて、社会参加の機会を用意した方が良い場合もあるでしょう。
このように栄養士は、対象者の栄養バランスだけでなく、全体像を含めて関わっていく必要があるのです。